知っていますか?市川市にも買い物不便地域が存在することを。
買い物不便地域解消のための「移動販売」について
日常の買い物に苦労されている方々を支援するため、市川市と(株)ダイエーとの協働により、食品や日用品などを載せた車両による移動販売を、令和3年1月18日(月)から開始します。
この移動販売は、買い物不便地域の解消だけでなく、住民同士の交流の場となることで孤立防止や見守りの効果も期待できます。
販売場所の近くにお住まいの方は、ぜひご利用ください。
【開始日】
令和3年1月18日(月)
【取扱品目】
肉、魚、野菜、豆腐、牛乳、パン、加工食品、調味料、菓子、日用品など (約300品目)
※ダイエーいちかわコルトンプラザ店で取り扱いのある商品は、注文いただければ次回販売時に持参して販売
【販売価格】
ダイエーいちかわコルトンプラザ店の店頭販売価格と同じですが、移動販売手数料として1品あたり10円(上限50円)がかかります。
出所: https://www.city.ichikawa.lg.jp/wel01/1111000344.html
冒頭で引用したのは、西暦2021年1月7日に市川市のWebサイトに掲載された文章です。買い物不便地域とは、文字通り、買い物をするのが不便な地域のことで、住まいの周辺に、店舗、特に食料品を販売している小売店舗がないような地域のことです。
今回のリリースは、市川市内の買い物不便地域を対象に、ダイエーいちかわニッケコルトンプラザ店が移動販売を実施することになった、というものです。
農林水産省の「食料品アクセス(買い物弱者・買い物難民等)問題ポータルサイト」には、次のような説明があります。
我が国では、高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、 過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(いわゆる「買い物難民」、「買い物弱者」、「買い物困難者」)が増えてきており、「食料品アクセス問題」として社会的な課題になっています。
※太字は筆者によるもの。
出所:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/syoku_akusesu.html
引用した農林水産省の説明に、「都市部においても」とある通り、同じ千葉県では、例えば、お隣の船橋市でイオンが買い物不便地域に移動販売車を走らせていますし、京成ストアも昨秋より移動販売を開始しています。松戸市には古い大規模団地がありますし、千葉市でも以前イオンが移動販売車を運行していました。
高齢化が進行しているとはいえ、全国的に見れば相対的に高齢化率が低い市川市では、これまで買い物不便地域の存在が大きくクローズアップされることも、具体的な対策が講じられることはなかったと思います*1。
今回、市川市ではダイエーとの取り組みで、買い物不便地域の解消のために移動販売車を走らせるという方法を採りました。前述の通り、船橋市ではイオンや京成ストアが移動販売を実施しているように、今後、市川市でも他のスーパー等の小売業が、新たに移動販売を行う可能性もありますし、小売業以外の事業者や組織が、移動販売以外の方法で、この問題の解消に向けて活動を始めるということも考えられます。
再び、先ほどの農林水産省のWebサイトから引用します。
食料品アクセス問題は、商店街や地域交通、介護・福祉など様々な分野が関係する問題であり、国の関係府省、地方公共団体の関係部局が横断的に連携し、民間企業やNPO、地域住民等の多様な関係者と連携・協力しながら継続的に取り組んでいくことが重要です。
※太字は筆者によるもの。
出所:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/syoku_akusesu.html
太字にした箇所には「NPO」という言葉も登場します。市川市には、まちづくりNPO法人、フリースタイル市川というチームがあり、私もその一員なのですが、恐らく近いうちに、何らかのかたちで買物不便や食料品アクセス問題を解消するための活動を始めるのではないでしょうか*2。
ダイエーが市川市で本日(1月18日)からスタートする移動販売の、曜日別の販売場所と販売する時間帯は、下表のとおりです。
ダイエーのWebサイトには、「移動販売」は「コミュニケーションの場や地域と連携しての見守りに貢献できるサービス」という説明があります(下記参照)。
市川市には単身世帯が多く、全世帯中、約4割が単身です。2人世帯も多く、1人暮らし(単身世帯)と2人暮らし(2人世帯)を合わせると、全世帯の約7割に上ります。
2020年9月22日の当ブログの記事で、この辺のことを説明しています。ご参考まで。
muron-street-de.hatenablog.com
少人数世帯で、かつ、近隣に買い物をする店がない場合は、他者とのコミュニケーションの機会が少なく、地域とのつながり(=地域の人々との接点)が希薄になりがちです。移動販売は単に買い物の機会を生むだけでなく、少なくなりかねない交流の機会をつくるという効果も期待できるのですね。
移動販売は、実店舗へのご来店が難しい方が直接商品を選び、気軽に楽しく買い物していただけることに加え、コミュニケーションの場や地域と連携しての見守りに貢献できるサービスです。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、移動販売の利用を希望される方も増えていることから、当社では移動販売の展開を推進しております。
出所:株式会社ダイエー ニュースリリース『イエーいちかわコルトンプラザ店「移動販売」開始について』(2021年1月6日)より
http://www.daiei.co.jp/index.php/corporate/release_detail/1471
市川市にも買い物不便地域があるという話をしてきたわけですが、上の移動販売実施場所の表を見てただくと、大町や柏井、塩浜に、市営団地があり、ここが買物不便地域になっていることが確認できます。市営住宅については、別の機会に、記事にする予定です。
さて、市内には、お住まいの近くに食品を販売する小売店舗がない*3、あるいは、ご自身の健康その他の問題が原因で買い物に行くことが難しいという状況にある方が少なくないことが(そのような方の人数を確認したわけではありませんが、報道を踏まえると)わかりましたが、そうは言っても、店はたくさんあるではないか、という意見もあることでしょう。
店舗密度の差が地域によって大きいということだと思いますが、例えば本八幡駅の周辺には、食品を販売する小売店舗は多く存在しています。
駅から少し離れた場所には、マルエツ、ヤオコーもありますので、食品の購入には困らないという人も多いでしょう。
さて、それでは市川市内には小売店舗はどのくらいあるのでしょうか。
ここでは市川市内の業態別店舗数を確認してみます。
業態名は情報の出所である「日本全国スーパーマーケット情報」で用いられているものを踏襲しました。
ドラッグストアはいわゆるセルフサービス(自分でカゴをもって店内を歩いて商品を手に取ってレジで会計する)の店舗*4、ファーマシーは調剤薬局です。
ディスカウンターは、いわゆるディスカウントストアで、販売している商品は非食品が中心です。食品を中心に扱うディスカウントストアは、食品ディスカウンターです。
表の色分けは小生が行いました。いわゆる「食品小売業」に分類できるものを淡いブルーに、「非食品小売業」を淡くて渋いグリーンに、「コンビニエンスストア」をクリーム色に塗っています。
とはいえ、ドラッグストアの多くはパンや調味料、飲料、酒、菓子など販売しており、最近では、青果や精肉を販売する店舗も増えています。ホームセンターでも食品が販売されるケースが増えています。色分けは便宜的なものとお考え下さい。
この、市川市内の小売業態別店舗数について、あるいは、大手チェーン間の出店競争などの話は、別の機会に書いてみたいと思います。
コンビニエンスストアが市内に125店舗ある――というのは、多いのでしょうか。少ないのでしょうか。…ということについても、いつか記事にしたいと思います。
最後に、市川市内のコンビニエンスストアのチェーン別の店舗数を掲載して、この長すぎる記事を締めくくりたいと思います。
市川市内のコンビニエンスストアの店舗の約半数がセブンイレブンなのですね。本部が市川市にあるデイリーヤマザキは店舗数ではローソンと1店舗差の4位(ローソンにはストア100が2店舗含まれるため、純粋なコンビニエンスストアの店舗数という意味では、ヤマザキ>ローソンと言えなくもありません!)、千葉市の幕張に本部があるミニストップは7店舗でした。
今日の記事は、ダイエー(いちかわニッケコルトンプラザ店)の移動販売が始まる日ということで、市川市にも買い物不便地域があり、その問題を解消するための動きを少しでも知っていただきたいという気持ちで書きました。
記事を書いているうちに関連する色々なことにも手を伸ばしていったわりに、特に面白い話をすることもなく、「これについては別の機会に書きます」とお茶を濁している感じがしなくもないのですが、引き続き、当ブログ「むろん、ストリートで!」をお読みいただければ嬉しく思います。