ノスタルジー鈴木の「むろん、ストリートで!」

ストリート・ムシャリスト〈ノスタルジー鈴木〉が発見した素敵なサムシングについて大いに語ります

おいしくやくそく宣言

市川市でまちづくりを実践していく「フリースタイル市川」というチームを結団し、活動している私ですが、まだこのチーム名が決まる前の今年の春、「フリースタイル市川」発足のきっかけとなったと言っても過言ではない、いわば「フリースタイル市川」のゼロ地点とも言える活動に参画したのでした。

誰と?

後に「フリースタイル市川」に参加することになる、あるいは、深く関わることになるメンバーズと!

その活動こそ、「おいしくやくそく宣言」なのです。

 

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「おいしくやくそく宣言」のロゴマーク

 

「フリースタイル市川」で現在手掛けている、あるいは、これから手掛けていくことになるであろう、「まちづくり」に関する各種の活動にとって、始祖のような位置付けになる、この活動については、2020年6月に発行された電子書籍次世代店舗 第4号』に掲載された拙文の中で触れています。当該活動のことを紹介したパート「消費者の地元志向の高まり~市川市の『おいしくやくそく宣言』」を引用するので、ご一読ください(改行位置に手を加えた他は、書籍内の文章そのままです)。

 

ここでは、今回のCOVID-19拡大に際して筆者が経験したエピソードを紹介する。取り上げるのは小売店舗ではなく、飲食店であるが、消費者が地元の店舗を応援したいという気持ちを、具体的な購買に繋げ、実際に店舗の支援になるように導線設計された取り組みがあるため、紹介することにした。


筆者は、千葉県の市川市という、江戸川を挟んで東京都江戸川区に隣接する、典型的なベッドタウンに住んでおり、平日は市川市で過ごす時間は短く、朝出かけて、夜帰ってくるという生活を送っている。自宅の近くにお気に入りの飲食店はいくつかあるものの、好きな割に利用頻度は低い店も多い。また、店構えや評判から興味を持ってはいるものの、入店したことがない飲食店もいくつもある。

 

COVID-19拡大を受け、筆者は在宅勤務をすることとなったのだが、一日三食をすべて自宅で摂ることが多かった。これは、ウイルス感染防止のため、飲食店での飲食をできるだけ回避しようという意識が働いたからであるが、同じような行動をとる住民が多く、飲食店の客数は激減した。

 

こうした中で、持ち帰り(テイクアウト)に対応することで売上を確保しようとする飲食店も増えていき、市川市に住む筆者の仲間たちからは、自然発生的に、地元の店を応援したい、という声が挙がった。

 

これは、今年2020年の春、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大によって、私(文中では「筆者」)が(そして、多くの人が)初めて経験した、一連の出来事です。こうした経験が、以降で言及している「おいしくやくそく宣言」という活動につながります。引き続き、引用します。

 

このような流れの中、筆者の仲間である「MIKAZUKI design」と「アンカー市川」が共同で「おいしくやくそく宣言」を立ち上げ、飲食店に貼ることができるポスターを作った。「おいしくやくそく宣言」の紹介文とポスターの例を以下に示す。

 

ポスターは、ウイルス感染リスクを抑えるために「飲食店が守っている『やくそく』」と「みんなで守りたい『やくそく』」の2種類で、「また笑顔で会えるように」という思いが込められている。

 

また、新たにテイクアウト対応を始めた飲食店が多いことから、「テイクアウトできます」というポスターも作った。ポスターはWebサイトから無料でダウンロードでき、市川市外の店舗であっても自由に使うことができる。

 

これらのポスターは、飲食店が消費者に伝えたい大事なメッセージを、デザインの力で伝わりやすくしている点が特徴的であり、ポスター等を自分で作るのは難しいという飲食店の店主や従業員のニーズに対応したものである。

 

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「おいしくやくそく宣言」の紹介文

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「おいしくやくそく宣言」のポスターの例。飲食店が無料で利用できる。

 

これらの画像も上記の書籍からの引用ですが、元はいずれもMIKAZUKI design Webサイトより引用したものです。また、引用箇所の上に掲載した、笑顔の「おいしくやくそく宣言」のロゴマークも同様にMIKAZUKI design. Webサイトからの引用です。

リアルの場で、つまり、市川市という「まち」で、人々の活動(お店の人の活動、消費者の活動)に、「動き」、「流れ」を作るような、この「おいしくやくそく宣言」ですが、この活動はリアルのみならず、オンラインでも行われました。そして今も引き続き行われています。

オンラインで何をしているのか、再び引用します。

 

さらに、「おいしくやくそく宣言」では、Facebookグループ「市川の飲食店テイクアウト情報」(メンバー1,300人以上、2020年4月30日時点)を立ち上げた。

 

このグループでは、

①テイクアウト利用者が店の情報と購入したメニューの写真を掲載する、

②飲食店の関係者(店主や従業員など)がテイクアウト情報を掲載する、

という情報発信が日々行われている。

 

利用者による①のみ、あるいは、飲食店による②のみの情報サイトやSNSは多く存在するが、「市川の飲食店テイクアウト情報」では、消費者同士がお薦めの飲食店を紹介し合うことで新たなテイクアウトを創出している他、消費者と飲食店の対話も活発に行われており、飲食店の店主が他の飲食店の利用者として①の記事を投稿するケースもある。

 

この場で生まれた地域の繋がりが、COVID-19終息後も継続し、地域活性化に貢献することを目指している。

 

グループに参加する消費者と飲食店の双方が実際に交流する機会として、オンライン・ミーティングを開催した。30名以上が参加したこのイベント「オンラインdeモチョラナイト」では、モニタ越しにテイクアウトしたメニューと飲食店を紹介し合い、食べながら会話し、交流が起き、新しい繋がりが生まれた。

 

このFacebookページは、2020年10月現在も稼働中で、メンバーは2,200人以上になっています。グループの特徴は、上述の通りで、一見、それほど風変わりなものではないようなのですが、お店の利用者(消費者)同士に加え、利用者と飲食店の関係者の交流も生まれている点がユニークだと思います。

最後に、このパートのまとめ箇所を引用します。

 

今回のCOVID-19という非常事態に、地域への帰属意識を強くした消費者は多いと思われる。また、在宅時間が長くなることで、地域で生活することの意味を改めて考える消費者も多いだろう。

 

ベッドタウンであっても、寝に帰るための街とうことではなく、多くの住民が消費者として地域の経済活動に参加しようという気持ちを持つようになる可能性もある。

 

ただ、こうした消費者の意識の変化、地元志向の高まりが、必ずしも地域の事業者や店舗での購買行動に結びつくとは限らない。地域の店舗は、チェーン小売業やチェーン飲食業のように、WebサイトやSNS、あるいは店頭での情報発信をしているとは限らず、情報を求めている消費者に、情報が届かないことが少なくないからである。

 

上で紹介した市川市の例のように、元々地域内に存在する個人同士のネットワーク(繋がり)を活用し、さらにSNSなどを使うことで、高まる地元志向を、購買・消費行動というかたちで地域経済の担い手に届けることが可能である。

 

また、この「市川モデル」を、別の地域に水平展開することは難しいことではないと思われる。

 

COVID-19を乗り越え、小売業、飲食業、サービス業、娯楽など、様々なジャンルで、各地に個性的な店舗や施設が生き残ることを願っている。映画館で言えば、シネコン(シネマ・コンプレックス)だけでなく、個性的な作品を上映するミニシアターが存在してこそ、映画の多様性や豊かさが担保されるわけであり、それはあらゆるジャンルにおいても当てはまることである。

 

「おいしくやくそく宣言」についてはこれ以上の補足説明は不要だと思いますので、あえて付け足すことはしません。4月に、MIKAZUKI design.さん、アンカー市川さんと、その仲間たち(私もそのうちの1人です)で、この活動を始めたのですが、共通の思いを持ったメンバーズが、アイディアを出し合って、オンラインで意見交換をしながら、スピーディに意思決定をし、ポスターの作成、ダウンロードと印刷の仕組みの構築、Facebookページの解説と運営を行ったことが、その数か月後に、「フリースタイル市川」という名を持つチームの立ち上げに大きな影響を与えたことは間違いありません。

 

もう少し上手に、整理して説明すべきだったかもしれませんが、に立ち上げた「おいしくやくそく宣言」がきっかけとなって、それまでも各自が市川市で(広義の)まちづくりや、その近くの界隈で活動していた仲間たちが、には1つのチームである「フリースタイル市川」を結団し、いよいよこのNPO法人としての活動をスタートさせる、というタイミングで、改めて「おいしくやくそく宣言」について、雑でも粗くても良いので、振り返っておきたいと思い、改行が少なくて読みづらいこについては「素直に I'm sorry」という気持ちが少しありつつ、今どきのブログの、改行の多さ、一文の短さ、空白の多さといった特徴を、この記事が取り入れようという気持ちにはついぞなれずに、この読みづらい文章を、「フリースタイル市川」の毎週開催されている定例ミーティングに自宅からオンラインで参加した後に書いているのです。

 

この活動(「フリースタイル市川」誕生前夜にスタートした「おいしくやくそく宣言」)を紹介するという行為も、「まちづくり」の一種だと私は思っています。そう思う理由は、後日、この「むろん、ストリートで!」の中で、または、「!ka !ch!kawa」(イカ市川。ノスタルジー鈴木と稲村ジェーンがお送りしているポッドキャスト番組です)でお伝えします。

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