ノスタルジー鈴木の「むろん、ストリートで!」

ストリート・ムシャリスト〈ノスタルジー鈴木〉が発見した素敵なサムシングについて大いに語ります

総務省統計局に電話をかけて確認した ossan is me.

本日、2021年6月4日、総務省統計局のWebサイト上で、4月の『家計消費状況調査』の結果が公開されました。

小生は毎月この調査結果をウォッチしていますが、ネットショッピングの利用状況に注目してます。

統計局の『家計消費状況調査』のWebサイトには、4月の調査結果の中から注目すべき事項として*1次の2点が紹介されています。

 

  • 2021年(令和3年)4月分のネットショッピング支出額は、1年前に比べ名目22.3%の増加で、対前年名目増減率に寄与した主な項目は、「旅行関係費」の5.40%及び 「衣類・履物」の4.13%(名目寄与度)
  • ネットショッピング利用世帯の割合は52.4%となり、1年前に比べ5.1ポイントの上昇

出所:総務省統計局『家計消費状況調査』Webサイト(2021年6月4日閲覧)

 

なお、毎月公表されるこの種のデータ(政府統計調査以外では、企業の月間業績などがあります)は、前月と比べてどの程度増えた/減ったか、ではなく、前年同月との比較を確認することが多いです。
これは、データに季節性がある場合(例えば、ある指標は7~8月は低く、12月に高い水準となる傾向がある、というように)、過去の同じ月との比較であれば、季節性を除外できるために行っています。また、1か月は31日と30日、あるいは28日や29日のこともあるため、日数の異なる前月との比較では、増減を把握しづらいということも、単純な前月比較を用いない理由です。

 

さて、先ほど、総務省統計局のWebサイトから引用した通り、2021年4月の1か月間の「ネットショッピング利用世帯の割合は52.4%となり、1年前に比べ5.1ポイントの上昇」ということでした。ちなみに、これは「二人以上世帯」を対象とした調査結果から算出された数値であることには注意が必要です。というのも、現在の日本では、3世帯中、1世帯強が、単身世帯(単独世帯、一人暮らし)であり、世帯単位の消費支出を見る上で、単身世帯(単独世帯)を見ないというのは大いに問題あり「と言わざるを得ないのが現状」*2だからです。

 

平成27年国勢調査による10月1日現在の我が国の世帯数は5344万8685世帯,そのうち一般世帯数は5333万1797世帯,施設等の世帯は11万6888世帯となっている。
一般世帯数を世帯の家族類型別にみると,「単独世帯」(世帯人員が1人の世帯)は1841万7922世帯(一般世帯の34.6%),「夫婦と子供から成る世帯」は1428万8203世帯(同26.9%),「夫婦のみの世帯」は1071万8259世帯(同20.1%),「ひとり親と
子供から成る世帯」は474万7976世帯(同8.9%)などとなっている。

出所:総務省統計局(2017)『平成27年国勢調査 世帯構造等基本集計結果 結果の概要』

 

 

と、いうわけで、この先は「二人以上世帯」を対象とした調査結果を確認する点に、ご注意ください。注意といえば、調査はあくまでも「世帯単位」であるということにも注意が必要です。年代別にデータを見ていきますが、「35~39歳」とは、「二人以上世帯で、世帯主が35~39歳」ということを示しています。幼い子と同居しているケース、高齢者と同居しているケースなど、各世帯の世帯人員は様々ですが、ここでは世帯人員構成は問うていません。

先程、二人以上世帯の半数以上(52.4%)が2021年の4月にネットショッピングを利用した、という調査結果を紹介しました。利用世帯の割合は、1年前、2020年4月から5ポイント以上の上昇であり、大幅な上昇と言ってよいでしょう。では、世帯主の年代別に見ると、ネットショッピング利用世帯割合はどのようになっているでしょうか。

下図は、「ネットショッピング利用世帯割合(二人以上世帯、世帯主年齢別、2021年4月)」です。

 

▼ネットショッピング利用世帯割合(二人以上世帯、世帯主年齢別、2021年4月)

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ネットショッピング利用世帯割合(二人以上世帯、世帯主年齢別、2021年4月)、出所:総務省「家計消費状況調査」

世帯主年齢が49歳以下(40代以下)の二人以上世帯では、7割以上が4月にインターネットを通じた買物(など)をしている、ということがわかります。

世帯主年齢が50代の二人以上世帯では65%超で、60代では、64歳以下は過半数の55.5%ですが、世帯主年齢が65~69歳という前期高齢者に含まれる年代では*3半数を切っています。以前と比べると、高齢者(ここでは65歳以上とします)のネットショッピング利用率は高くなってきていますが、利用頻度は若年層と比べると低いと考えられます*4

なお、利用率が最も高い40~44歳を基準とすると、年代が高い程、率は低いのですが、85歳以上の世帯では、80~84歳よりも率が高くなっています。この理由は定かではありませんが、集計対象世帯数が85歳以上は393人と少ないため、数字のブレが生じやすいと考えられます。また、世帯主が85歳の場合、子と同居しているケースが多く(その割合が80~84歳よりも高い可能性があり)、同居している子がネットショッピングを利用している――ということが推測されます。

  

続いて、世帯主の年代別に、1世帯当たりのネットショッピングによる、4月の1か月間の支出金額がどの程度であったかを確認します。これ以降、1世帯当たり平均支出金額のグラフが登場しますが、いずれも、非利用者を含む全集計対象世帯の平均金額である点にご注意ください。

 

▼世帯当たりネットショッピング総支出金額(二人以上世帯、世帯主年齢別、2021年4月)

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世帯当たりネットショッピング総支出金額(二人以上世帯、世帯主年齢別、2021年4月)、出所:総務省「家計消費状況調査」

世帯主年齢が59歳以下の各年代では、1か月当たりのネットショッピング総支出金額が20,000円超となっています。高齢者(65歳以上)は、非高齢者(64歳以下)と比べると支出金額が低水準です。このグラフの数値は、前述の通り、非利用世帯を含む集計対象全世帯の平均支出金額なので、1つ前のグラフ「ネットショッピング利用世帯割合」で割合が高い年代で金額が大きくなる傾向があります。

 

このあと、世帯主年齢別の「食料品」、「飲料」、「出前」、「電子書籍」、「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」の支出金額のグラフを掲載しようと思いましたが、やめました。その代わり、年代別ではなく、これらの品目分類別の月間支出金額(1世帯平均、二人以上世帯)の時系列変化を見たいと思います。

 

▼1世帯当たり1か月の「食料品」のネットショッピング支出金額の推移(二人以上世帯)

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世帯当たりネットショッピング「食品」月間支出金額の推移(二人以上世帯)、出所:総務省「家計消費状況調査」

毎年12月の支出金額が大きいことがわかります。これが前述した「季節性」です。2020年は、3月に微増、4月に大きく増加した後、2019年が月間支出金額1,500円弱で推移しているところを、5月に2,453円となり、その後も2,000円超で推移しました。今年、2021年も1~4月まで各月とも2,500円超となっています。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、外出自粛を余儀なくされた人々の間で、店舗に赴いて食品を買うという「従来の買い物様式」から、ネットショッピングでも食品を買うという「新しい買い物様式」への変化が生じていることがわかります。

 

こちらは「出前」の支出金額の推移です。

▼1世帯当たり1か月の「出前」のネットショッピング支出金額の推移(二人以上世帯)

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世帯当たりネットショッピング「出前」月間支出金額の推移(二人以上世帯)、出所:総務省「家計消費状況調査」

折れ線グラフは「食料品」と同じような動きを見せていますが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「出前」の支出金額の増加幅は、「食料品」のそれを凌駕しています。2019年は200円弱で推移していたのに対し、2020年の4月以降は300円台後半より高い水準を推移し、2021年は4月まで毎月400円超となっています。Uber Eatsや出前館の利用が大幅に増加したことを反映した調査結果ですね。

 

▼1世帯当たり1か月の「電子書籍」のネットショッピング支出金額の推移(二人以上世帯)

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世帯当たりネットショッピング「電子書籍」月間支出金額の推移(二人以上世帯)、出所:総務省「家計消費状況調査」

このグラフは「電子書籍」の支出金額の推移を表しています。ちなみに『「電子書籍」のネットショッピング支出金額』には、おかしな響きがありますね。「電子」なので「ネット」なのは当然ですね。いや、本当にそうでしょうか?もしかしたら、そうではない購入方法があるかもしれません。店舗で「これ=電子書籍ください」と店員さんに伝えて購入する方法が。もし知っている人がいたらこっそり教えてください。

電子書籍」の支出金額は、2020年1月以降、毎月伸長を続けていますね。金額は小さいのですが、今後も増加を続けることが予想されます。

 

小生は紙の本を買うのを無類の楽しみとする者で、外出時の帰り道に本八幡界隈の書店に立ち寄って購入するという買い方(そして、飲食店におもむろに入店、買ったばかりの本のページをめくり、つかのまの安らぎを覚える――という一連の行為)が習慣化していたのですが、昨年来、外出する機会が減少するのと歩を揃えるように、書店に行く回数が減っています。

その結果というか何というか、「電子書籍」を買うことが以前よりは増えています。現在読んでいるのは矢沢あい著『Paradise Kiss』という漫画です。

 

 

そういえば、『鬼滅の刃』は全巻電子書籍で購入しました。公式ファンブックその1も。その2は紙の本で買いましたが。

 『鬼滅の刃』という作品名は、『鬼屋刃物店』という市川市『鬼越』にある店を想起させます。

muron-street-de.hatenablog.com

 

 

最後に、いくつかの品目分類の1世帯当たり1か月間消費支出金額(二人以上世帯)の「対前年同月比」(前年同月と同じ場合を100とする)を見てみましょう。

  

▼1世帯当たり1か月のネットショッピングによる「食料品」「飲料」「出前」の「支出金額・対前年同月比(二人以上世帯)

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1世帯当たり1か月のネットショッピングによる「食料品」「飲料」「出前」の「支出金額・対前年同月比(二人以上世帯)、出所:総務省統計局『家計消費状況調査』

▼1世帯当たり1か月のネットショッピングによる「電子書籍」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」の「支出金額・対前年同月比(二人以上世帯)

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1世帯当たり1か月のネットショッピングによる「電子書籍」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」の「支出金額・対前年同月比(二人以上世帯)、出所:総務省統計局『家計消費状況調査』

 

なお、「ダウンロード版の・・・」には、ストリーミング・サービスの利用に対する支出金額を含みます。小生が総務省統計局に電話をかけて確認しました。

 

そんなわけで、今日は、最新データが公開されたばかりの総務省統計局『家計消費状況調査』より、ネットショッピングの利用実態を確認してみました。

 

それでは今日はこの辺で。ノスタルジー鈴木でした。

 

ノスタルジー鈴木でした。

 

 

*1:"注目すべき事項"と明記されていませんが、そのように捉えてよいと思います。

*2:「と言わざるを得ないのが現状」とは、日本を代表するヒップホップ・グループにして King of Stage の異名を持つライムスターのメンバー、ラッパーの宇多丸氏が用いる表現です。

*3:前期高齢者は65~74歳、後期高齢者は75歳以上。

*4:なぜ低頻度だと考えられるかと言うと、当調査は1か月間にネットショッピングを利用したかどうかを調べるものであり、「ネットショッピングは利用するけれど、年に3,4回程度しか使わない」というような低頻度利用者の場合、調査対象のある月には1回も利用していないということが起こり、「年間利用者」ではあっても「月間利用者」にはならない月があるためです。